彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
駅を出ると、すぐにバスから降りてきたばかりの後藤と会う。
少し笑いながら「おう」と言ってくる。
俺も「おう」と返す。

後藤は無駄がない。
そのまま駅に置いてる自転車で去っていった。

沙和が俺の方を見る。

「今のも野球部?」
「うん、後藤。後藤悠斗。」
「へえー。」

沙和は相変わらず興味なさそうな声を漏らす。

後藤に失礼だろ。
いい奴なのに。

沙和は人の名前を覚えようとしない。
きっと後藤も覚えてはいない。

その後、荒木と会った。
荒木がニヤニヤしながら俺の肩をぽんと叩いてくる。

「なんだよ。」
「いや、県予選終わった直後から彼女見せびらかしてきたから。」
「ちげーよ。」
「昨日負けて少しは心配してたけど、安心したわ。」
「うるせえ。」

荒木も早足で俺たちを置いていった。

ああ、気持ちいい。
俺の隣を歩く沙和。
みんなが俺たちを見ていく。

沙和はやっぱりかわいい方だと思う。
かわいいというか、綺麗だ。
上品な顔してる。

天狗になる俺。

一人でベラベラ話してるうちに、学校についてしまった。
下駄箱のところで別れる。

2人でいると時間があっという間だ。
もっともっと話したい。
もっともっと一緒にいたい。

いつも夕ご飯食べているときは周りにも人がいるから、ついそっちを意識してしまう。

この朝の登校時間は、そういう意味では2人だけの時間だったように感じる。

ああ、もっとこんな時間が欲しい。

夏休み中、頑張って作ろう。


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