彼はネガティブ妄想チェリーボーイ
「ないよ?」

沙和が俺の目を見て言った。
その言葉に全身の力が一気に抜ける。

「そっか。」

俺から安堵の声が漏れた。
ゆっくり上体を起こす。

すると沙和の顔にも笑顔が戻った。

「ああ、ビックリした・・・今、あの箱の中身使うのかと思った・・・」

そうか。
そうだったのか。
沙和はそう思ってたんだ。

沙和は沙和で突然の展開に戸惑ってたのかもしれない。

よかった。
直前で思いとどまってよかった。

急にホッとする。

「使うわけねえよ!」
「だって今、そんな雰囲気になったじゃん。」
「ちげえよ。」

ああ、なんかもう腹減ったし、一気に部活の疲れも出てきた。
現実に戻ってきた気がする。

「飯行くか。」

俺はそう言って部屋を出ようとする。

「ちょっと待って。」

沙和が俺を追いかけて来てくれる。

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