素直になれない夏の終わり
“美味しいイタリアン”が店名なのに、その大雑把さはいいのか?と思ったけれど、お客である夏歩が心配しても仕方がないので、美織の言う通り、ココアがあるということをただ喜んでおくことにした。
「ああでも、私お昼まだなんだよね。先にお昼食べたいな」
ドリンクから目線を上へとずらした夏歩に、美織は呆れたように息を吐く。
「今日は一体いつまで寝てたのよ」
「お昼をちょっと過ぎた辺りまで」
へへっと笑ってみせる夏歩に、美織はもう一つ息を吐く。
「寝起きでよくここまで来るファイトがあったわね。ああ、津田に無理やり連れてこられたって言ったっけ」
チラッと美織の視線が動いたので、夏歩もそちらを見やる。
「え、なに、羨ましいって?どうしてもって言うなら、俺がキューピットをしてあげないこともないけど」
「誰がお前なんかに頼むか!キューピットって言うより、嬉々として引き裂く気だろうが」
「心外。流石にそこまで性格ひん曲がってないよ、祐也と違って」
「はあ!?お前ほどひん曲がって捻くれて腐りきった奴もいないだろ!!」