素直になれない夏の終わり
「ちょっと美織、あいつ俺のこと睨んだからそれもあとで注意して」
「あんたもね、構いたいのはわかるけど、程々にしなさいよ」
「なんのことかなー。別に構いたくなんかないよ、あんな可愛げのない奴。ちっさい時は可愛かったのに、でかくなるにつれて生意気になってさ。あっ、なっちゃん。何にするか決めた?」
二人してほんと手がかかる……と呟く美織と、楽しそうに笑っている津田とを交互に見てから、夏歩はメニューに視線を落とす。
「最初はミートソースかなって思ったけど、でもジェノベーゼも気になるし、マルゲリータも美味しそうだなって思い始めてるところ」
なるほど、と頷いて、津田もメニューを覗き込む。
「いっそ、三つ全部頼んでシェアするって手もあるよ」
「……そんなに食べれる自信がない。だって、デザートにティラミスも食べたいし、ココアも飲まなきゃだし」
「ココアは別に強制じゃないからね、夏歩」
しばらく眉間に皺を寄せてメニューを眺めていた夏歩は、やがて助けを求めるように美織へと視線を移した。