素直になれない夏の終わり
「津田くんがね、今朝も来たの。で、夕飯も作りに来るんだって」
「へえー、随分仲良くやってるじゃない」
「……仲良く、と言うか……勝手に来て、勝手に色々やるから。……鍵、全然返してくれないし……」
ぼやく夏歩に「ふーん」と気のない相槌を打ちながら、美織はコンビニの袋からサラダを取り出す。
付属のドレッシングをかけて、プラスチックのフォークで混ぜ、葉物を二、三枚突いて口に運び、シャキシャキと大変いい音を立てて咀嚼する。
「でもなんだかんだ言いつつ、しっかり津田の世話にはなってるんだものね」
まあその通りなので、夏歩は返す言葉もなく黙り込む。
「何でもいいけど、いい加減食べ始めないと時間なくなるわよ」
美織が視線を送ったのは、テーブルの上のランチバッグ。もちろん中身は、津田が作ったお弁当。
「隠さず出すようになったのはいいことだけど、いつになったらすぐに食べ始めるのよ」
「……どうにも、今日は何が入ってるんだろうってワクワクしてしまう自分がいて、それを静めないことには開けたくない。なんか悔しい」