素直になれない夏の終わり
全く……と苦笑気味に呟いて、美織はサラダを口に運ぶ。しゃくしゃくと咀嚼して、飲み込んで
「本人が見てるわけでもないんだから、お弁当くらい素直に開ければいいのに」
それでもしばらく、ランチバッグを黙って見つめていた夏歩は、スマートフォンで時間を確認したところで、ようやく渋々と弁当箱を取り出した。
二段重ねの弁当箱を開けると、おかずの段には玉子焼き、プチトマト、きんぴらごぼうなどが入っていて、その下の段には白いご飯が詰めてある。
夏歩は一旦弁当箱から視線を外し、深く息を吸ってから吐いて、心を落ち着かせてから箸を伸ばす。
おかずを摘まんで、それからご飯。何の気なしに白いご飯に箸を入れると、なんとご飯は二層になっていて、ご飯とご飯の間に醤油で味付けされたおかかが挟まっていた。
驚いて目を見開いた夏歩に気が付いて、美織も弁当箱を覗き込む。
そして二層のご飯と間のおかかに気が付いて、「さすが津田ね」と言って笑った。
「相手が夏歩だと気合いの入り方が全然違うわね」
可笑しそうな美織をしばらく不満げに、何か言いたげに見つめていた夏歩は、結局何も言わずに弁当箱に視線を戻す。