素直になれない夏の終わり

「……美味しくなかったらどうするのよ」

「なっちゃんとだったら、たとえイマイチだったとしても、それを共有するのも楽しいかなって」


楽しいか楽しくないかではなく、食べるのであれば美味しい方がいいに決まっている。
そう言うわけで、それからまたしばらく悩んだ結果、夏歩は無難にうどんをチョイスした。

それからまた、黙々とスプーンを動かす。

ほどなく皿が空っぽになって、お椀と一緒に二つ重ねてシンクに運ぼうとしていた津田越しに冷蔵庫が目に入った時、夏歩は「あっ」と声を漏らす。

動きを止めた津田が、「ん?」と首を傾げる。
それには答えず夏歩は立ち上がると、真っすぐ冷蔵庫に向かって、中から箱を取り出した。

ああ、と津田が納得したような声を上げる。


「それって結局何なの?ケーキじゃないって言ったよね」


津田は、シンクに食器を運びながら問いかける。
何もなくなったテーブルに箱を運びながら、夏歩は「いいもの」とだけ答えた。

そっとテーブルに箱を置き、蓋を開けて中身を確認。

慎重に持って帰ってきた甲斐あって、二つ入っているシュークリームはどちらも綺麗な状態を保っていた。
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