【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

まさか……そんな……。

胸に暗雲がかかり、思わず途中で歩みを止めてしまったその時、男性が煙草を口から離して振り向いた。

メタルフレームのスクエア型眼鏡。冷酷な切れ長の瞳。その人は紛れもなく、ジムで不穏なそぶりを見せた勝又烈さんだった。

彼と目が合うなり、恐怖で金縛りにあってしまったように固まってしまった私に、勝又さんはかすかに冷笑を浮かべた。背筋にぞくりと寒気が走り、本能的に〝逃げなきゃ〟と思った次の瞬間、背後から聞き慣れた声が私を呼ぶ。

「あれ? 沖田さんじゃないか」

びくっとして振り返ると、そこには職場の上司である蒔田支店長が目を丸くして立っていた。

なんで、支店長がこんな場所に……?

「支店長……偶然ですね。ここの会員なんですか?」

「いやいや、まさか。連れてきてもらったんだ、そこにいる勝又さんに」

また、勝又さん……。なんで、私の友達も上司も彼と知り合いなのだろう。

手のひらでカウンターの勝又さんを指した支店長に、私は一歩近づき小声で問いかける。

「あの……彼って何者なんですか?」

「何者って……勝又不動産、ってところの会社の社長さんだけど」

「時々、すごく怖い態度を取る時がありません? ほら、銀行に来ていたときもそうでしたし」

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