【極上旦那様シリーズ】きみのすべてを奪うから~クールなCEOと夫婦遊戯~

最上階にたどりつくと目の前には高級ホテルのラウンジのような空間が広がり、突き当たりに受付があった。

それなりにハイソなワンピースを纏ってきた私でも緊張するのに、先を歩く凛子はお気に入りのストリートカジュアルな格好で、楽しそうにブーツのかかとを鳴らしている。

さらに彼女の髪型は、ピンク色のショートヘア。生まれてこのかたカラーもパーマも経験がなく、遊び心のひとつもない自分の黒髪ロングヘアが、なんだかやぼったく感じる。

思えば学生時代からそうだった。

いわゆるお嬢様学校と呼ばれる高校に通っていたあの頃、私は絵にかいたような優等生、凛子は先生を悩ませる問題児。

周囲に褒められるのは常に私の方だったけれど、どれだけ叱られていても、自由に好きなことをしている凛子が羨ましかった。

そんな彼女に憧れて私から声をかけたのが、友達になったきっかけだ。

対照的な私たちの友人関係を不思議がる人もいるけど、凛子は頭の固すぎる私に自由な考え方や息抜きを教えてくれるし、私は逆に凛子が羽目を外しすぎないように、そのの奔放な振る舞いをときどき姉のように注意したりして。

結局お互いが社会人になった今でも、不思議と心地いいこの関係は続いている。


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