その少女は夢を見る


襖を閉め、その場に寝転がる。



やっぱり知らない人が沢山居る所に行くのはストレスだ。



僕はかなりの人間嫌い。



多くの人の所なんて望んで入ったりはしない…寧ろかなり嫌だ、人混みなんて以ての外なくらいには。



…でも、そんなこと言えない事態になって来たなぁ。



『…桜、』



桜宮って名字の僕に、桜って名前の桜。









“ねぇ!桜宮さん!私達、桜がつく者同士だよ!”









笑ってそう声を掛けてくれた…それが初めての会話だったのを、僕は今でも覚えている。



優しく、可愛く、いつでも明るく…笑っていた彼女が、僕は大好きだった。



なのに僕は…彼女にも素を出すことなんて出来なくて。



そんな自分を、どれだけ恨んだことだろうか。



『桜…僕、あなたにだけは…素直になりたかったよ。』



あなたはいつでも、ずっと傍に居てくれた。



なのに僕はあなたの苦しみや悲しみに気付けず…違う、気付いてた。



だけど気付かないふりをして…



『あなたを殺したのはあいつらじゃなくて…僕、だよね。』



知ってた、分かってた。



でも、責任転嫁をすることで、それをなかったことにしたかった。









“ねぇ…千雨………_____…___…”









聞こえていたはずの君の声が聞こえなくて。



遠くて。



ノイズがかかってて。









届かないよ─────









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