一途な執事と甘いティータイム
大河の手が伸びてきたかと思えば、するりと解かれてしまった三つ編み。
美菜子に外されそうになった時は阻止できたのに。
大河が私と話している、大河が私の目の前にいる。
それだけでただでさえ今注目されている。
そんな中でこの変装を解かれてしまったら……
「えっ……」
「ねぇ、もしかして」
「やっぱり?」
教室内がざわつき始める。
「ねぇ、やめ……」
「このメガネも邪魔だね。あと、スカートももう少し短くして──」
私が抵抗する隙もなくメガネを外され、スタイリストのような手際の良さで私の制服のスカートをウエストで折って膝上丈にセットする。
これで私はそこら辺をよく歩いている普通の女子高生と何ら変わりのない格好だ。
そして、偽りのない桜宮 菓乃の姿。
名前は公表していないとはいえ、Sakuraの新商品を宣伝する街でよく見るポスターや女子高生がよく読む雑誌にはモデルとして出ている私。
オシャレ好きな女の子が多いこのクラスではほとんどの人が私を知っているらしいとみんなの反応を見てそう感じた。