一途な執事と甘いティータイム
「ほら、やっぱり菓乃ちゃんはこの方が可愛い!ドレス姿の菓乃ちゃんが一番綺麗だけどね」
「……っ」
言葉に詰まってしまったのは、大河の言葉にキュンとしたからではない。
まわりの視線がすごく痛いから。
嫉妬の視線と、羨む視線と……
仲良くしてくれてたのにずっと隠してきた美菜子からの視線。
美菜子に申し訳なくて。
美菜子を信じられなかった私に嫌気がさす。
ごめん、ごめんね、美菜子。
重い頭を上げて美菜子の方をちらりと見ると、美菜子はとても悲しげな目をして私を見た後、すっと目線を逸らした。
美菜子に嫌われてしまった。
嫌な過去があってからずっと友達を作ることを避けてきた私。
やっとできたかもしれないと思っていた友達を自分から突き放してしまった。
勝手なことをやった大河に怒りを覚えると共に、悲しみと後悔の気持ちが押し寄せてきた。
「大河の、バカ」
一言だけそう言い残し、教室を飛び出した。
あの空間に耐えることができなかった。