一途な執事と甘いティータイム
えっと、私の席はどこだろう。
こういうのは大抵出席番号順だ。
私の名前は"さ"から始まるのだから、きっと真ん中くらいだろう。
黒板の真ん中に席順が書かれた紙を見つけて、自分の席を確認した。
おっ、ラッキー!
私の席は窓側から2列目の一番後ろらしい。
なかなかいい席だと思う。
早速席へ向かうと、もう既に私の前の席が埋まっていた。
雰囲気は柔らかく優しそうで、サラサラのストレートが羨ましいくらいに綺麗。
ぷるんと艶のあるピンク色の唇はきっとグロスを塗っていて、オシャレ好きなのがわかる。
やっぱり化粧品ブランドの娘として、そういう所に目がいってしまうのはもう体に染み付いてしまっていて、仕方がない。
「あの、お名前聞いてもいいですか?」
友達の作り方はわからない。
今までそんな付き合いはしてこなかったから。
だから、仲のいい友達もいないんだけど。
今日の目標は、友達を作ることだから。
「あ、私?私の名前は坂井 美菜子」
美しい菜っ葉の子と書くのだと教えてくれて、まさに名前のような美しい女の子だと思った。