一途な執事と甘いティータイム


「それで、なんの用?」



突然執事が押しかけてくる時は、だいたいお父さんからの伝言を預かっている時。



そのパターンはいくつか限られていて、呼び出しか、化粧品の新作の試作品を届けに来たことか、もしくは……


「パーティーの招待状です」



「……やっぱり」



これが一番私の嫌なお知らせ。



お嬢様、御曹司……お金持ちばかりが集まる嫌なパーティー。



心のない笑顔の仮面を貼り付けて、自分の会社のためにペコペコと頭を下げて、顔を売る。



権力がある人は、下の人たちを見定める。



どこもパーティーなんて楽しさはどこにもない。



まだ幼い子どもの頃は、大人の事情なんてよく分からなくて、ただ可愛い服を来て美味しい食べ物を食べて最高の時間だったのに。



いつからか汚い大人の世界を知ってから、パーティーがパーティーではなくなった。



嫌で嫌で、一度だけパーティーをボイコットしたことがある。



しかもそれがお得意様のグループが主催していたパーティーで、後でお父さんにみっちりと叱られたっけ。


< 26 / 267 >

この作品をシェア

pagetop