一途な執事と甘いティータイム


「とにかく絶対に行きたくないから。その招待状はお父さんに返しておいて」



すっと私の前に招待状を差し出す有嶋の腕をパシッと払った。



「すみませんお嬢様、それは出来かねます」



「お嬢様って呼ばないで」



「はい、お嬢様」



「……」



最近こんなことが多くなった。



前の執事の神山さんは、申し訳ないとは思っているけれど、こうして毎度困らせていた。



私の盛大なワガママで何度かパーティーを免れたこともある。



だがしかし、相手が有嶋となるとそう簡単にはいかない。



……というか、ワガママなんてものは一切通じず、全て上手くかわされる。



私をイラッとさせることが上手くなって、言い返すことも面倒くさくなってしまう。



「では、ここに置いておきますので。パーティーはゴールデンウィーク中になります」



私が半分諦めた様子を見て満足気な有嶋は、そう言って部屋を出て行った。



「はぁ……」



なんだか疲れる。



誰もいなくなった部屋の中で、大きなため息をついた。


< 27 / 267 >

この作品をシェア

pagetop