気づけばいつも探してた
受付がようやく終わり、会場の扉がゆっくりと閉じられる。
ふぅ。
受付担当の皆は、一気に緊張が抜けようやくホッとした表情で互いに顔を見合わせ目元を緩めた。
私ももちろんその一人。
っていうか、今回は竹部さん部長昇格っていう事実に普段の緊張も吹っ飛んでたけれど。
「皆、受付ご苦労様。この後は、2時間後、ええ……そうだな、十一時半にまたここに戻ってきてくれ。最後の仕事でもある来賓者の見送りを頼む」
占田さんもようやく和らいだ表情で私たちを集め、一旦解散の指示を出した。
皆、ぞろぞろと会場前から本社へ帰っていく。
私も同じ総務部の後輩、萌と一緒にエレベーターに乗り込んだ。
「今日は初めての受付業務だったけどがんばってたわね、お疲れ様」
エレベーターが一階に降りていく間に、萌にそっと声をかける。
「あ、はい、色々助けていただいてありがとうございました」
「今日はいつもより人数多かったから最初はどうなることかと思ったけど、占田さんにお咎めも受けずなんとか乗り切れてホッとした」
私は肩をすくめてペロッと舌を出して見せると、萌は二重の小さな目を細くして楽しそうに笑う。
一階に着いたエレベーターの扉が開き、私達はロビーに出た。
受付会場よりも空気が澄んでるような気がして、大きく深呼吸する。
ロビーには華やかな花が生けられていて、その甘い香りが疲れをいやしてくれるようだった。
「きれいですね、お花」
花の前を通り過ぎながら、萌は私の方に顔を向け微笑む。
背の低い私よりも更に低い萌は、童顔なのに化粧に慣れていないせいか口紅の色が少し濃すぎるような気がした。
「うん、癒されるね」
「私、お花好きなんです。部屋に花があると気持ちも明るくなるから欠かしたことないんです」
「へー、そんなに好きなら習いにいかないの?」
「はい、本当は習いに行きたいんですけど、残業が多くてなかなか行けないんですよね」
「そうかぁ……」
萌は、今年入社してきたばりばりの新人。
そこそこいい大学を出ているし、性格も前向きでいい子なんだけれど、どうも仕事の効率が悪いようで毎日のように残業していた。
私より二つ先輩の立花智恵さんが彼女の指導役なんだけど、これまた立花さんがイワクつきのお局様なんだよね。
ふぅ。
受付担当の皆は、一気に緊張が抜けようやくホッとした表情で互いに顔を見合わせ目元を緩めた。
私ももちろんその一人。
っていうか、今回は竹部さん部長昇格っていう事実に普段の緊張も吹っ飛んでたけれど。
「皆、受付ご苦労様。この後は、2時間後、ええ……そうだな、十一時半にまたここに戻ってきてくれ。最後の仕事でもある来賓者の見送りを頼む」
占田さんもようやく和らいだ表情で私たちを集め、一旦解散の指示を出した。
皆、ぞろぞろと会場前から本社へ帰っていく。
私も同じ総務部の後輩、萌と一緒にエレベーターに乗り込んだ。
「今日は初めての受付業務だったけどがんばってたわね、お疲れ様」
エレベーターが一階に降りていく間に、萌にそっと声をかける。
「あ、はい、色々助けていただいてありがとうございました」
「今日はいつもより人数多かったから最初はどうなることかと思ったけど、占田さんにお咎めも受けずなんとか乗り切れてホッとした」
私は肩をすくめてペロッと舌を出して見せると、萌は二重の小さな目を細くして楽しそうに笑う。
一階に着いたエレベーターの扉が開き、私達はロビーに出た。
受付会場よりも空気が澄んでるような気がして、大きく深呼吸する。
ロビーには華やかな花が生けられていて、その甘い香りが疲れをいやしてくれるようだった。
「きれいですね、お花」
花の前を通り過ぎながら、萌は私の方に顔を向け微笑む。
背の低い私よりも更に低い萌は、童顔なのに化粧に慣れていないせいか口紅の色が少し濃すぎるような気がした。
「うん、癒されるね」
「私、お花好きなんです。部屋に花があると気持ちも明るくなるから欠かしたことないんです」
「へー、そんなに好きなら習いにいかないの?」
「はい、本当は習いに行きたいんですけど、残業が多くてなかなか行けないんですよね」
「そうかぁ……」
萌は、今年入社してきたばりばりの新人。
そこそこいい大学を出ているし、性格も前向きでいい子なんだけれど、どうも仕事の効率が悪いようで毎日のように残業していた。
私より二つ先輩の立花智恵さんが彼女の指導役なんだけど、これまた立花さんがイワクつきのお局様なんだよね。