イケメン不良くんは、お嬢様を溺愛中。
「え……嘘っ」


――剣斗くん!?

パーティーで助けてくれた恩人との再会。

また、会えるなんて……。
本当に同じクラスに転入してきてくれたんだ!

ついつい胸を躍らせていると、先生は剣斗くんを見る。


「じゃあ、簡単にあいさつしてくれる?」

「…………」

先生に促されたのにも関わらず、剣斗くんはしらっとした顔でそっぽを向いている。

「えっと……矢神くん?」

「ちっ」


二度、先生から催促された剣斗くんは舌打ちをした。

わずらわしそうにチョークを握ると、【矢神剣斗】と黒板に自分の名前を書き殴る。
その威圧的な雰囲気に、誰も口を開けない。

チョークが黒板に文字を綴る音だけが響き、なんだかシュールな光景だ。


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