月夜に笑った悪魔
──数十分後に到着したところ。
そこは……見上げるような高層マンション。
思わず立ちどまって見上げていれば、手を引っ張られ。
暁は入口でカードをピッと当ててドアを開けた。
……どこですか、ここは。
……ここでなにをするんですか。
そう思ってる暇もなく、彼はまた機械にカードを当てて2つ目のドアを開けて。
私はエレベーターへ……乗せられそうになるその直前で立ちどまって彼の腕を引っ張った。
「ちょっ、待って、無理、これも無理、怖い怖い!」
見えたエレベーター、それはガラス張り。
乗っている間に上から周りの景色がよく見える、ガラス張りのそれ。
無理だ。
私は絶対無理だ。
なぜなら……高所恐怖症だから。
「俺はエレベーターで行くけど、おまえは階段で行くか?
ちなみに1番上の階だからがんばれよな」
ぽんっと頭の上に乗せられた手。
……衝撃的な言葉。
この高層マンションの1番上の階に行く、なんて。
階段はある。
本当にあるけど……この高層マンションの1番上まで階段を上る勇気も体力もない。