月夜に笑った悪魔


ピリつく空気。


「つーか、月城組に関してはおまえが気にすることじゃねぇから」


彼は続けて、冷たく言う。



……気にするよ。
気にするに決まってる。


私は大きく息を吸った。
それから。



「好きだバカ!好きだから、暁のケガのこと気にするんじゃんっ!好きだから、復讐なんかやめて幸せになってほしいんじゃん!好きな人の幸せを願ったらダメなの!?
だいたい、暁の両親だって復讐なんて望んで──」
「おまえになにがわかるんだよ。関係ねぇおまえになにがわかるんだよ」



最後まで言う前に、低い声によって声は遮られた。


溢れ出る怒りのオーラ。
彼が怒っているのは一目瞭然。





「関係ないおまえが口出しすんな」


黙り込んだ私にもう一度低い声で言い、突き放す。
もうこれ以上言うな、とでも言うように。

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