月夜に笑った悪魔


女性の手に握られているのは、拳銃。


……殺される。
あの人は1人で、まわりに仲間はいなさそうだけど……暁を支えたこの状況では逃げきれない。




……だ、だめだ。
簡単に諦めちゃ、だめだ。


考えろ、考えろ、私……。
なにか、いい方法があるはずだ。



固まって動かない体。

それでも、私は必死に頭をフル回転させ……ゆっくり口を開く。






「わ……私は大人しく言うこと聞く。どこにでもついて行くしなんでもする……。だから、暁にはなにもしないで……」



まっすぐに目を見てそう言った。


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