月夜に笑った悪魔
「未玖様、巧様。日南美鈴には私からいろいろ説明してもいいですか?」
いろいろ考えていれば、女性は運転しながら2人に聞いた。
「うん!よろしくね、シノ!」
こくりと頷くうしろの2人。
未玖ちゃんが笑顔で言って……この女性が“シノ”なんだと理解。
しゃがんだまま運転席へと目を向ければ、運転席に座る人物とバックミラー越しに合う視線。
女性は運転中で、視線があったのは一瞬だけ。
彼女は、ゆっくり口を開いた。
「日南美鈴、あなたにはまだ名乗ってなかったわね……。
私は稲森紫乃(いなもり しの)、月城組若頭──岳様の部下よ」
「シノはおにーちゃんのおよめさんなのっ!」
最後に付け足すように言ったのは未玖ちゃん。