月夜に笑った悪魔


「とりあえず車移動させます。未玖様、巧様、ちゃんとシートベルトしてくださいね」


女性はくるりと後ろを向いて未玖ちゃんと巧くんに言って、そのあとは私に目を向けると


「あなたは見えないように大人しくしてなさい」


とひと言。



「わかった……!」
「……うん」


未玖ちゃんと巧くんは私から離れると、うしろに座ってシートベルトを締める。
それを確認した女性は車のエンジンをかけ、運転席と助手席のカーテンだけ開けてすぐに運転。



月城組組長の娘と息子で、月城岳の妹たちだから……敬語、なのかな。


それよりも……本当になんだこの状況は。
私と暁は、かなりやばい状況だと思ったけど……車内にほかにだれもいないしなにか乱暴されるわけではなさそう。


まだたぶん、だけど。

< 538 / 615 >

この作品をシェア

pagetop