月夜に笑った悪魔


「でも、シノはおにーちゃんのこと好きなんでしょ?そう言ってたよね、巧」
「言ってた……」


未玖ちゃんに聞かれて、巧くんは大きく頷く。
そして、未玖ちゃんは。



「シノ、本当は……おにーちゃんのこと、嫌いなの?」


悲しそうな表情。
その言葉にも、紫乃は激しく動揺。


質問に答えなければ、未玖ちゃんと巧くんは今にも泣きそうな顔をするから……。



「も、もちろん好きですよっ!!私は岳様が大好きで、お慕いしておりますっ!!」


紫乃はこれでもかと大きな声で答えた。
その言葉を聞いた2人は、「よかった」と安心した表情に。




今のやりとりを見て、なんとなくわかった。



……これは、きっと紫乃の片想い。
紫乃は、月城岳が好きなんだ。

< 541 / 615 >

この作品をシェア

pagetop