月夜に笑った悪魔


いや、でも、両想いって可能性もあるか。
あの冷酷な男、月城岳が助ける人間だもん……。



いろいろ考えていれば、紫乃は咳払いをひとつ。




「話を元に戻すわね……。えーっと、どこまで言ったかしら……」
「……名前くらいしか聞いてないけど」


悩み出すから、私はそう返した。



「あ、そ、そうだったわね。あ、そうそう、1番大切なことをまだ言ってなかったわ!
私は……今、あなたの敵ではない」


次に聞こえてきた言葉は、まさかの。


最初に攻撃してこなかった時点でおかしいとは思ったけど……敵じゃない、なんて。




「あなたとは本当にいろいろあったけど、これだけは信じてほしいの」


さっきまでとは打って変わり。
耳に届く声は、真剣な声。

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