愛は惜しみなく与う②
北と東

烈火に今の幹部が揃ったのはちょうど3年前


最後に烈火に入ったのは、新だった



他の人とは少し違う形で加入することになる



「才能の無駄遣いだな」

「……」

「やりたくてやってるのか?」

「……」

「俺の仕事を手伝うか?」

「……」




「俺はこの組を潰す男だ。覚えとけ」



その言葉を聞いて、無表情でパソコンを触っていた少年は、パッと顔を上げた



「この組だけじゃない。俺はいつか自分の組も潰す。その気があるなら、ついてこい」



伸び切った前髪から見える瞳が揺れる


「あ…」


久しぶりに発した言葉

上手く話せない


しかし男は待った





「私も…この組を潰したいです」


その言葉を聞くために




これは5年前

泉が実家を出て、家から離れて、そして烈火の総長になって、少し後の話



東と北が争っていた時の話…


先代の時に、東にある紅蓮というチームと烈火は対立していた


そもそもの対立のきっかけは、お互いのチームカラーが赤だと言うこと
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