青の秘密を忘れない
「結構いいところだね」

そう言って親友のゆりえは笑って、コーヒーに口をつけた。

「青子が戻りたい戻りたいって言うからどんな田舎かと思ったけど、やっぱり地方都市だから買い物にも困らないし」

戻りたいって言ったのは好きな人がいるからなの、と言ったらどんな反応をされるだろう。

ゆりえには何でも話してきた、全てを分け合った「ニコイチ」な存在。
結婚報告をした時、
「今までつらい恋ばっかりしてたから心配してたけどほんとよかったね」
と泣いてくれた。
だから、青井君のことは言えなかった。

「都会に帰りたくなる気持ちは分かるけどね。
しばらくはゆっくりさせてもらえばいいんじゃない?」

「う、うん……」

「あ、二泊の予定が一泊になっちゃってごめんね?今日家に帰るよね?
一緒に行って正臣君に挨拶しようかな」

「いやいや、そんなのいいよ!」

慌てている私を見て、ゆりえは一瞬訝しげな表情を浮かべたがすぐに笑顔に戻った。

「そう?まぁ急にお客来られても困るよね!
じゃあ、正臣君によろしく言っておいて」
そう言い残して改札口に消えていくゆりえに手を振った。

そして、ゆりえとすれ違ってこちらに向かってくる人に、私は手を振る。

「今のが親友のゆりえさんですか?」

「うん」

ふーん、と笑ってゆりえが向かった方を見るその人の腕に思わずしがみつく。

「青井君、久しぶり」

「お久しぶりです。会いたかったです」

こちらを振り向いた青井君は、照れくさそうに笑った。
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