初夜から始まる夫婦事情~一途な次期社長の溺愛は鎮まらない~
「他のは処分してその号だけ持って帰ろうとしてたのかもね。送ってあげた方がいいんじゃない?」

「宛先知らないですよ。それより見てください、池田さんの同期って凄いんですよ」

小林さんは私の提案をさらりと躱したあと、社内報を開きある写真を指差した。

「真田課長ですよ。若い~」

彼女は楽しそうに笑う。確かに写真の真田課長は今とは違い若かった。少年と言っても違和感がないような初々しさがある。

「ほんと。でも知らなった真田課長と池田さんが同期だなんて。真田課長の方が年上に見えたし」

上司と部下という関係性によるものもありそうだけど。

あれ?……真田課長が同期と言うことは、柊哉さんとも同期入社ということ?

そんな考えが過ったとき、タイミングよく小林さんが発言した。

「そして更に大物が! 桜川専務取締役がいるんですよ」

彼女の指す方を見る。そこには柊哉さんの顔写真が有った。

こういった写真は、変な顔や怖い顔になりがちだけど、彼に限ってはそんなことなく、ありのままとてもよく映っていた。

ほんの少しだけ微笑み、真っ直ぐ前を見つめている。

左右対称で整った形の眉、見事なアーモンド形の目。すっきりと通った鼻梁。見慣れた柊哉さんだけれど、やはり若さがあり、八年の時間を感じさせる。

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