【放浪恋愛】まりなの日記

【朝に帰るアタシの気持ちを分かると言うなら言ってみてよ…】

4月9日・晴れ

ファミマのバイトを終えたアタシは、歩いて平和記念公園まで歩いて行きました。

アタシは、元安橋の歩道の真ん中で川辺の風景をながめながらメンソールを一服くゆらせていた…

明け方の空に、小さな星がポツンときらめいていた…

平和記念公園では、キンリンの住民が朝のウォーキングに来ていて、都会(まち)の1日が始まろうとしていた…

アタシはと言うと、同じ時間帯に夜のお勤めを終えて宮島口にあるアパートへ帰ろうとしていた…

アタシは、原爆ドーム前の電停から宮島口行きの電車に乗って、アパートへ帰ることした…

路面電車は、市内から広電西広島駅に向かっていた…

電車は、広電西広島駅で行き違いの市内方面行きの電車待ちのために停車をしていた…

市内方面行きの電車が到着するプラットホームでは、背広姿のサラリーマンたちやいろんな学校の制服姿の学生さんたちが電車が来るのを待っていた…

電車を待っている人たちは、みな無口のまま、何を思っているのだろうか?

今日の仕事のこと…

学校の授業のこと…

家庭のこと…

やがて、行き違いの電車が反対側のプラットホームに入って来た…

到着した電車に、次々と通勤通学客が乗り込んで行くシーンを見るたびに、アタシはこう思っていた…

アタシは夜の女なのよ…

あなたたちに、夜の女のつらさが分かると言うなら…

どういうわけなのかを言うてよ…

そして電車は、広電宮島口駅に到着した…

電車を降りたアタシは、歩いて宮島口の桟橋の近くにある岸壁に行って、向かいに見える厳島神社の赤い鳥居をながめながらメンソールをくゆらせて、500ミリリットル缶のアサヒスーパードライをのんでいた…

アタシは小声で、すぎもとまさとさんの作曲でちあきなおみさんが唄っていた『かもめの街』を歌っていた…

そんな時、アタシはよく昔のことを思い出していた…

アタシは…

どうすれば幸せになれるのかな?

アタシは…

この先、どこへ行けばいいの?
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