【放浪恋愛】まりなの日記

【許さない!!】

5月9日・くもり

5月の大型連休が明けて、一段落ついたある日のことであった…

あいつ方の家とギクシャクした状態は、今もなお続いていた…

あいつは、この最近さみしさを埋めるために大学時代の友人たちと合コンばかりにうつつをぬかしていた…

せやけん、バイトをサボるようになっていた…

アタシとしては、あいつが違う女と浮気をしていても『あっそうなん…アタシをすてたいのであればすてなさいよ…』と言うことで、関知せえへんことにしています。

広島市内のデリヘル店に在籍をしているコから聞いた話やけど、この最近あいつが広島郊外のラブホで合コンで知り合った女性と一緒に入って行くのがヒンパンに目撃されていた情報をキャッチしたけん、アタシの怒りは頂点に達していました。

アタシはこの日、宮島競艇場のスナックコーナーのチュウボウで冷凍めんを湯がく仕事をしていました。

レースが始まるまでの間、おっちゃんたちが次々と店に入ってきて、食券の券売機で買っためん類やカツカレーなどを注文して食べている。

アタシは、チュウボウで冷凍めんを湯がく仕事をもくもくとこなしていた…

アタシがバイト中の時やった…

あいつは、ナタリー(フジグラン)の中にある焼き肉屋さんで行われている合コンに行っていた…

そんな時に、いらんもめ事があいつの家で発生しました。

いらんもめ事は、レースが終盤に差し掛かった時に発生していたと思う…

アタシは、チュウボウでおっちゃんたちが食べ終えた食器を洗う仕事をしていた…

その時やったけど、アタシのスマホの電話の着信音に設定されている工藤静香さんの歌で『激情』が流れていた…

アタシは、耳に着けているイヤホンのスイッチを押して電話に出てみた…

そしたら…

あいつの次兄さんが怒った声で『今すぐに帰ってこい!!』と言ってきた…

ブチ切れていたアタシは、電話をガチャッ!!と切ったった…

それからも、電話の着信音がひっきりなしに鳴り響いていたけん、アタシはひどくイラついていた…

あのね!!

アタシはあいつ方の家の嫁をやめたやさぐれ女なのよ!!

バイト中に、私用電話をせんといてくれるかしら!!

ほどなくして、別の従業員の女性がコードレスホンの子機を持ってきて、アタシに電話に出てほしいと言ってきた…

「あのね!!アタシはバイト中なのよ!!バイト中の私用電話はやめてと言うて切りなさいよ!!」
「気持ちはわかりますが、どうしても出てほしいと…まりなさん…由宇の家が今大変な状況になっているのよ。」

電話はあいつ方の家の兄嫁さんからだった…

『すぐに帰ってきてほしい…義父と義兄がすごく怒っている…』とアタシに言うたけど、アタシは『あいつが起こした女のもめ事には関わりたくもないわ!!』と怒鳴り返して、電話を切ろうとしていた…

せやけど、兄嫁さんはオイオイオイオイ泣きながら、どうしてもアタシに来てほしいと求めていて、食い下がろうとはせえへなんだ…

アタシは思い切りキレていて、ボコボコにいて回さないときがすまんかったけん、途中で仕事を止めて、JR山陽本線の電車に乗り込んで、由宇の家へ行くことにした…

話によると、あいつは合コンで知り合った女性との肉体関係を続けたあげくに、女性を死の一歩手前に追い詰めたと言うことやった…

今頃、あいつの家では女性の両親が怒鳴りに来ているかもしれへん…

アタシはこう思いながら、怒りをくすぶらせていた…

由宇駅で電車を降りたアタシは、改札口を通って駅の外へ出た…

この時、アタシの怒りが最大値に達していて危険な状態になっていた…

あいつの家にて…

二人の義兄が土下座をして、女性の両親にあやまっていた…

あいつは、女性の両親にひたすらあやまり続けていた…

しかし、女性の父親があいつの顔をグーで思い切りどついたけん、家の中がシュラバと化していた…

その時に、怒りを強めていたアタシは家の中へ入るなり、より強烈な叫び声をあげてこう言うたった…

「待ちなさいよあんたら!!アタシはバイトてぇ止めてられたけん思い切りキレてはるのよ!!あいつの事には関わりたくないと言うとんのに、なんでアタシを呼び出したのよ!?」

アタシの言葉を聞いた兄嫁さんは、オタオタした声でアタシをなだめていた…

「まりなさん、お願いです…(則文が合コンで知り合った女性)さんの両親に謝ってください!!お願いです!!」

アタシは『謝れだと!!フザケルな!!あやまるのは(女性)の両親の方だ!!』と怒鳴りつけた…

せやけど、女性の父親がブチ切れてアタシに殴りかかってきた…

「何だと!!娘はな!!則文にもてあそばれて、そのことを苦にリスかをして、死にかけているのだぞ!!謝れ謝れ謝れ謝れ!!」
「何が謝れよ!!謝るのはあんたらの方でしょ!!仕事仕事仕事…オイゴメイゴがかわいいかわいいかわいい…ホーデホーデホーデホーデホーデ…と言うて、エコヒイキしまっくっていたけんこななことになったのでしょ!!自分の娘を孤独の淵に追い込ませて、えらそうにするんじゃないわよ!!帰んなさいよ!!帰んなさいよと言うたら帰んなさいよ!!」

アタシの言葉にキレてしまった女性の父親がアタシを両手でつきとばした…

「よくも娘をブジョクしたな!!許さない!!」
「何すんのよあんたは!!」

(ドカッ!!ガツーン!!ガツーン!!バシッ!!バシッ!!)

アタシは、女性の父親の顔をグーで母親の顔をパーで思い切りどつきまわしたった…

アタシにいてまわされた女性の両親は、しくしくと泣いていた…

アタシは、ワナワナと全身を震わせて、充血した目で女性の両親をにらみつけながら怒鳴りつけたった…

「思い知ったか!?これはあんたらの娘の怒りなのよ!!あんたらはそのことに気がついていなへんみたいね!!まだどつき回されたいのかしら!!」

アタシは、しくしくと泣いている女性の両親に続いてあいつにもグーで顔を5発以上どつきまわしたった…

あいつは、傷ついて家の外へ飛び出していってもうた…

長兄さんが、あいつをおいかけて行った…

そしてアタシは、兄嫁さんにも平手打ちで往復ビンタを顔に喰らわせたった…

(バシッ!!)

「フザケルな!!あんたいつからえらそうになったのかしら!?先に結婚できたからと言って勝ち誇っていたからアタシにはりまわされたのよ!!わかっとんかしら!!」

アタシは兄嫁さんの顔にさらに2~3発ビンタを喰らわせたった…

義父はアタシに『(兄嫁)さんを叩くのだったら出て行け!!』と怒鳴りつけた…

アタシは、義父のこめかみをグーでどついたあと、その場から立ち去った…

アタシは、赤茶色のバッグを持ってJR山陽本線の電車に乗って広島方面に逃げて帰りました。

アタシは、電車の中でグスングスンと泣きじゃくっていた…

アタシはこの時、5歳の時に布施の親戚の家でカルタ取りをしていた時に、取りたかった絵札のことをめぐって親戚の子とドカバキの大ゲンカを起こした後、かけつけてきた両親の前で泣いた時のことを思い出していた…

親戚の子は、アタシにいて回されて顔に100針をぬう大ケガを負った…

アタシも顔にひどいケガを負った…

傷ついた顔にひどく流れる涙でぬれていた5歳のアタシを見たオカンはおどろいて『まりな!!どうしたの!?』と言うて、アタシを抱きしめていた…

5歳のアタシの泣き声は、仔猫が怒った時の声に似ていた…

アタシがひどく泣いている時に、両親は…

「あなた、どないしたらええねん…まりなは、物事の善悪が分からない子になってもうたわ。」
「どないせえ言うたって…知るかそんなん!!」
「あんた、何なんねんその言いぐさは!!都合が悪ければフライトフライトに逃げてばかりいてはるじゃないのよ!!」
「お前こそなんだ!?仕事仕事仕事と言って、お前がまりなを孤独の淵に追い詰めて何が言いたいねん!?」
「あなたこそ何なんねん!?」
「だまれ!!」
「だまれはあんたの方でしょ!!」

オカンとオトンは…

アタシが泣いているのに…

どうしてののしりあっているのよ!!

アタシは、広島駅に着くまで泣いて泣いて、泣くだけ泣いていた…

その日の夜、アタシは的場町にある韓国料理の店で激辛たこいためとユッケをサカナにきついジンロ(ショーチュー)をのんで酔いつぶれていた…

どんなにのんでも…

どんなに激辛料理を食べても…

アタシの悲しい心が満たされることはなかった…

この時、ユーセンのスピーカーから、パクジュニュンさんの歌で『愛・ケセラセラ』が流れていた…
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