【放浪恋愛】まりなの日記

【岡崎岸壁】

7月14日・晴れ

この日は、梅雨明けを思わせるような暑い日曜日であった…

アタシは、撫養町内にあるコインランドリーで洗濯をして、寮に帰れば部屋でごろ寝をするだけであったので、岡崎岸壁まで散歩に行くことにしました。

昔、大毛島に向かう渡船場(わたしば)があった場所で、アタシはメンソールをくゆらせながら海をながめていました。

笠置さんの家を飛び出してから2週間以上が経過しました。

風のうわさで聞いた話によると、笠置さんはアタシが2度目の家出をしたと聞いた時にものすごく怒っていました。

その上にまた、布施で暮らしているアタシの親せきの人たちがやって来て血みどろのどつきあいにまで発展したと言うことも聞いていました。

アタシは、どちらかと言えば家族団らんで過ごすことが苦手な方であった…

笠置さんカタに居たときに気がついたけど、同じ食卓に座って同じ料理を食べながらやれ仕事の話がどーのこーのだとか、やれ勤労青少年ホームの会員さん同士のカップルさんの結婚が決まったとか、カップルさんのオノロケ話とかを聞くのがホンマにイヤやった…

1台のテレビで家族が同じ番組を見ると言うても、『プロ野球中継』や『夜のワイドニュース番組』などの父親ご都合主義だから、シラけてもうたわ…

笠置さんの言う家庭の定義とは、何だったのであろうか?

笠置さんの言う家族で仲良く暮らすこととは、コシュの自己チューにしかすぎない…

それがしは、アタシが望んでいる家庭なんかではない…

笠置さんは、正論ばかりをゴタゴタとならべてばかりいたわ…

アタシは、そんなことを想いながらメンソールをくゆらせていた…

時代は変化しつつある今…

正論ばかりをゴタゴタならべていれば…

結局は、さみしい大人になってしまうのだ…

夕方、アタシは撫養町内にある居酒屋さんへ行って、ホッピーをのみながらやきとりを食べていました。

店のテレビには、テレビ和歌山で放送されている旅番組で紹介されている京都の観光名所が映っていました。

アタシはこの時、高松で暮らしていた時の友人のことを思い出していた…

今ごろどうしているのかな…

元気かな…

アタシは、そんなことを思いながらホッピーをのんでいた…
< 62 / 221 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop