【放浪恋愛】まりなの日記

【何で今ごろになって会いに来たのよ!!】

5月16日・雨

その日は、前夜(15日のよいのうちあたり)から冷たい雨が降っていました。

アタシは、焼肉屋さんのバイトを終えた後、いつものように始発電車が動くまでの間、鶴橋駅前にあるローソンでバイトをしていました。

あれは午前3時前後のことだったのかよく覚えてへんけど、和歌山の住友金属の工場で働いていた時に知り合った元カレがアタシの元へ突然フラりとやって来ました。

アタシはその時、陳列ケースに新しく到着したお弁当を並べ替える作業をしていました。

元カレは、紀伊長島(三重県)の実家に帰ったものの、結婚が破綻したことが原因で『生活が苦しい、助けてくれ…』とアタシに助けを求めてきました。

今のアタシは、元カレとよりを戻したい気持ちなんぞなかったけん、元カレに吐きすてる言葉を思い切りぶつけたった…

「あんたね!!今ごろになって何でアタシに求めて来んのよ!!第一、あんたとアタシはとっくに終っているのに!!今ごろになってアタシとやり直したいだなんてムシがよすぎるわよ!!帰ってよ!!」

アタシの言葉に対して、元カレは女々しい声でアタシに助けを求めて来た…

「まりな、この通りや…オレはもう一度お前とやり直したいのだよぉ…なあ、頼むよぉ…オレ…心入れかえてがんばるから…オレ…お前がいてへんかったら、生きてゆけんのや…」

元カレが女々しい声で言うとったけん、アタシは怒りを込めて元カレに言うたった…

「あんたね!!それだったら何であの時アタシを抱いたのよ!?何であの時アタシよりも他の女と結婚することを選んだりしたのよ!?ああ!!それだけじゃないわよ!!他にも女をたーんとたぶらかしてはったともきいてはるから、アタシは思い切りキレとんのよ!!」
「なあまりな、この通りや…頼むから、オレのそばにいてくれよぉ…」
「イヤや!!…そんなんイヤや!!断るわ!!…あんたね!!あの時アタシが、どなな想いして暮らしてはったのかゼンゼン分かってへんみたいね!!」
「分かってまんがな…せやけどオレはあの一件で結婚が難しくなってしまったけん、苦しいねん…」
「そんなんしらんがな!!あんたね!!あの時アタシに愛していると言うておいて、結局はアタシの体をさんざんもてあそんだあげくにアタシを捨てたのでしょ…その時に受けた傷は今でも痛むのよ!!あんたは欲に目がくらんでしもたけん、大きな痛手を受けたのでしょ!!」
「まりな、それじゃあもうオレのことは…」
「せやから、あんたのことはあいそが尽きてしもたんよ!!それよりもアタシは今すごく忙しい時間帯なのよ!!帰ってや!!」

アタシの言葉に傷ついてしまった元カレは、トボトボと歩いて店を出てゆきました。

アタシは、元カレの後ろ姿をさめた目つきで見つめていました。
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