きみはハリネズミ
…なんで、茅ヶ崎くんは私に関わろうとするの。


私は茅ヶ崎くんみたいに日向を歩ける人じゃないのに。


関わらないで欲しかった。


また傷付くくらいなら茅ヶ崎くんのことなんて知らないままでいい。


あの時刺さった棘はじくじくと痛んで、絆創膏を貼っても、魔法をかけても、抜けることなんてなかった。


茅ヶ崎くんを見ているとそんな棘から目を逸らしている自分が嫌になる。


人と関わるのが嫌なくせに1人になるのが怖いなんて馬鹿げていると思うけれど、


それでも私は前に踏み出すことができないんだ。


「高坂さん、よろしく」


微笑んだ彼と、黒板に並んだ「高坂なこ」と「茅ヶ崎律」の文字に苛立ちを覚えるほど、私の心に刺さった棘はその疼きを主張していた。


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