きみはハリネズミ



『何もしないで』


慌てて掴んだ茅ヶ崎くんの袖口にシワが寄る。


低く発した声に茅ヶ崎くんは一瞬だけ迷いを見せた。


『波風立てたくないの』


『…それでいいの?』


茅ヶ崎くんの髪が風に揺れた。


真っ直ぐに私を見つめる目を、私はまだ見れない。


『いいの』


どうか。



どうか君が、



私の心に気付きませんように。



私はただそれだけを祈った。



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