無邪気な彼女の恋模様
年末年始は会社が連休になる。
波多野さんと同棲を始めたとはいえ、まだ必要最低限なものを移動させただけだ。
言ってみれば連泊しているようなもの。
この機会に残りの荷物を運び込もうかということになった。

だけど私は毎年年末に数日実家に帰っている。
実家はそれほど遠くはないけれど、やはりそういう連休のときにしか帰らないし、親も私が帰ってくることを心待ちにしているようだ。

「波多野さん、私、年末に実家に行ってきます。2日くらい泊まってこようと思っているけど、いいですか?」

「実家に?」

波多野さんに告げると、波多野さんは何か考え込むような仕草をして言った。

「俺も、挨拶しに行ってもいい?」

「えっ!挨拶?!」

「いや、やっぱり同棲するからにはきちんと挨拶しておかないと。ご両親が心配するだろ?」

「~~~っ!」

胸熱!
胸キュン!

私は波多野さんをバシバシと叩く。

「なんだよ。」

「波多野さんが素敵すぎる~!」

波多野さんったら、甘いだけじゃなくてこんなに誠実な人だったなんて。
また新たに素敵な一面を見せつけられて、私は嬉しすぎて身悶えた。

もう、やばい。
波多野さん、好き!

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