クールな婚約者との恋愛攻防戦
「仮面夫婦とまでは言ってないだろ。会話はする。両親は跡継ぎを欲しがっているから、子作りのセックスもするだろうし」

「せっ……」

「好きだの嫌いだの、余計な感情が不要なのは有難いって話だ。
そろそろ戻るぞ。料理も残ってるし」

「……は〜い……」


とりあえず、いったん返事はしたものの、全然納得はいかない。

だってそんな結婚生活、絶対楽しくないじゃない!


それに。



さっき、一瞬だけど見ることの出来た、樹君の笑顔。

あの顔が頭から離れなくて、もっと見たいって思ってる。


冷たい顔ばかり、見せないでよ……。




先程の部屋に戻ると、両親達が私達を出迎える。


「お帰り。愛梨さん、息子との時間は楽しんでいただけたでしょうか?」

お父様の質問に、私は「あ、はい。楽しかったです」と答える。

嘘は吐いていない。
樹さんの考えや本音に触れられたことは確かに嬉しかったし、楽しい時間だと思えた。
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