クールな婚約者との恋愛攻防戦
翌朝……。
時刻は、朝日がキラキラと眩く差し込む、六時。
「きゃぁぁぁぁっ!」
私の叫び声が、別荘中へと響き渡った。
「……愛梨⁉︎ どうかしたか⁉︎」
すぐに樹君が、慌てた様子で二階から降りてきた。
初めて見る、樹君の恐らくレアな表情をゆっくり堪能させてもらう余裕もなく、キッチンにいた私は恐る恐る電子レンジを指差した。
「……爆発したの」
「……え、何が?」
「その……」
現場を見て、状況を察したらしい樹君は、
「料理出来ない奴の典型的な失敗だな」
と、呆れた顔で言った。
……そして、生卵は電子レンジに入れてはいけないのだと、私に教えてくれたのだった。
「目玉焼きを、作ろうと思ったの」
「フライパンで作れ」
「ああ、そっか。生卵を電子レンジに入れれば勝手に目玉焼きになるのかと思って」
「どういう発想だ」
「……ごめんなさい」
普段は何事にも楽観的な私だけど、さすがに早朝からこんな大騒ぎをしてしまって、申し訳なさから落ち込む。
樹君も、呆れを通り越して怒ってるかも……
と思ったのだけれど。
「もしかして、朝食を作ってくれようとしたのか?」
「あ、うん。あとお弁当を……」
「……ありがとう」
「え?」
予想外の優しい言葉が降ってきたから、思わず聞き返してしまった。
だけど聞き間違いなんかじゃなかったよね。はっきりと、ありがとうって聞こえた。
「怒らないの?」
「お前が料理を全く出来ないのは昨日のカレーで思い知ってる」
「だよね。ごめん」
「そうじゃなくて……その、料理出来ないのに、俺の為にしようとしてくれたんだろ。それは有難いし、嬉しいから」
その言葉に、思わずじーんと感動してしまう。
でも。
「朝食はコーヒーだけで大丈夫だ。昼飯も、お前の料理の腕が向上するまでは社食でいい。とりあえず、このレンジ回りを片付けてくれ。俺は着替えてくる」
と的確な指示をされ、感動もそこそこに朝から掃除をするのだった。
結局、朝食もお弁当も作れずに、私の密かな計画は幕を閉じた。
時刻は、朝日がキラキラと眩く差し込む、六時。
「きゃぁぁぁぁっ!」
私の叫び声が、別荘中へと響き渡った。
「……愛梨⁉︎ どうかしたか⁉︎」
すぐに樹君が、慌てた様子で二階から降りてきた。
初めて見る、樹君の恐らくレアな表情をゆっくり堪能させてもらう余裕もなく、キッチンにいた私は恐る恐る電子レンジを指差した。
「……爆発したの」
「……え、何が?」
「その……」
現場を見て、状況を察したらしい樹君は、
「料理出来ない奴の典型的な失敗だな」
と、呆れた顔で言った。
……そして、生卵は電子レンジに入れてはいけないのだと、私に教えてくれたのだった。
「目玉焼きを、作ろうと思ったの」
「フライパンで作れ」
「ああ、そっか。生卵を電子レンジに入れれば勝手に目玉焼きになるのかと思って」
「どういう発想だ」
「……ごめんなさい」
普段は何事にも楽観的な私だけど、さすがに早朝からこんな大騒ぎをしてしまって、申し訳なさから落ち込む。
樹君も、呆れを通り越して怒ってるかも……
と思ったのだけれど。
「もしかして、朝食を作ってくれようとしたのか?」
「あ、うん。あとお弁当を……」
「……ありがとう」
「え?」
予想外の優しい言葉が降ってきたから、思わず聞き返してしまった。
だけど聞き間違いなんかじゃなかったよね。はっきりと、ありがとうって聞こえた。
「怒らないの?」
「お前が料理を全く出来ないのは昨日のカレーで思い知ってる」
「だよね。ごめん」
「そうじゃなくて……その、料理出来ないのに、俺の為にしようとしてくれたんだろ。それは有難いし、嬉しいから」
その言葉に、思わずじーんと感動してしまう。
でも。
「朝食はコーヒーだけで大丈夫だ。昼飯も、お前の料理の腕が向上するまでは社食でいい。とりあえず、このレンジ回りを片付けてくれ。俺は着替えてくる」
と的確な指示をされ、感動もそこそこに朝から掃除をするのだった。
結局、朝食もお弁当も作れずに、私の密かな計画は幕を閉じた。