クールな婚約者との恋愛攻防戦
朝から大騒ぎしてしまったけれど、何とか無事に、仕事へと向かう樹君を見送る。

車の運転が好きだという彼は、普段から自宅の運転手に任せることなく、自分で自分の車を運転して会社へと向かうらしい。

私は、先月大学を卒業した身だけれど、就職はしていない。
父が、しばらくは家でゆっくりと花嫁修行でもしなさいというからそうするつもりでいたのだけれど、今思えば、私が卒業したらすぐにこのお見合いをさせる気でいたからだったのだろう。
この同棲だって、あの場で決まったような雰囲気を出されていたけれど、もしかしたら最初から計画されていたことだったのかもしれないな。


さて、樹君が帰ってくるまで、一日は長い。何をしようか。

別荘のお掃除は、昨日ここへやって来た時点で既にピカピカだったから、今日はそこまで時間も掛からなそうだ。

日用品も食材も結構揃っているから、お買い物も必要なさそうだし……。



そうだ。

あることを思い付き、私は携帯からある人へと電話をした。
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