クールな婚約者との恋愛攻防戦
そして。
夜、お手洗いに行きたくて目を覚ました。

枕元の時計で時刻を確認すると、深夜の二時だった。


部屋を出て廊下に出ると、話し声が聞こえてきた。

誰……? といっても、樹君に決まっている。この別荘には、私と彼の二人しか住んでいないのだから。


電話してるのかな?

声が聞こえてくる方に近付くと、二階の最奥の、普段は使っていない客室から声が聞こえてきた。

やはり電話をしているようだけれど、こんな時間に一体誰に? 会社の人?

仕事だとしたら、こんな夜中に電話するほど何か大変なことがあったのかな……と心配になってしまい、つい聞き耳を立ててしまった。


すると、聞こえてきたのは。



「……本当にごめんな、こんな遅い時間にしか電話出来なくて。そっちの旦那には、バレてない?」



……え?



凄く不穏な言葉が聞こえてきて、一瞬にして眠気なんてどこかに消えてしまった。


更に。



「俺? 大丈夫。うん、婚約者には気付かれてない」




私?


私に気付かれてないって……何のこと?
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