俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 目を閉じているから表情から感情を読み取ることができない。

「瑠璃ちゃんの手、冷たくて気持ちいい」

 額から頬に当て、摺り寄せてくる。くすぐったくて、胸の奥がムズ痒い。

「もう少しこのままで……」

 そう言うと少しして寝息が聞こえてきた。

「副社長……?」

 呼びかけに反応がない。私の手を握りしめたまま寝てしまったようだ。
 無防備な寝顔にドキドキが止まらない。こんな時になんて不謹慎な……!

 必死に胸の高鳴りを鎮めようとしても、彼の寝顔を見ると収まってくれない。いつもとは違う、子供みたいな寝顔――。

 ふと、さっき彼に言われた言葉を思い出す。

「こんな私をかわいいって言うの、副社長くらいですよ?」

 普通は思わない。……それに私の感情が豊かになったのは、あなたのおかげ。副社長と出会ってから、私は仕事に対する考え方も周囲との接し方も変えることができた。

 頼ったり甘えたりすることは迷惑だと思っていた。でもそれも間違いだって気づけた。なんでもひとりでできる。誰も力を借りなくても、完璧に仕事をこなせるということも。
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