俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 ジャケットも脱いで、着替えもしてもらったほうがいいよね。勝手に見て触るのは忍びないけれど……。

 周囲を見回すとタンスがある。失礼してその中から着替えを取り出した。

「副社長、着替えられますか? 汗を掻いたままではかえって悪化してしまいます。できたら着替えてください」

「……わかった」

 けだるそうに起き上がると、ジャケットを脱ぎ、ワイシャツのボタンを外していく姿に慌てて後ろを向いた。

 いくら体調を崩しているといえど、さ、さすがに直視できない。

 ごそごそと着替える音が耳に届く。少しすると終わったのか、ベッドが軋む音が聞こえてきた。
 振り返ると着替えて疲れたのか、よりいっそう苦しそうにしている。

「大丈夫ですか?」

 脱いだジャケットをハンガーにかけて、ワイシャツを畳み、膝を折って彼の様子を窺う。
 額の汗で湿った前髪が邪魔そうでそっと触れると、そのまま手首を掴まれた。そして彼は私の手を自分の額に当てた。

「ふ、副社長……?」

 どうしたんだろう、急に手を掴んだりして。
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