俺様副社長は愛しの秘書を独占したい
 ゆっくりと身体を離され、今度こそキスされそうになった時、ここが会社だということを思い出して、咄嗟に彼の口を手で塞いだ。

「……ちょっと瑠璃ちゃん? なにかな? この手は」

 笑顔だけど明らかに彼は怒っている。

「副社長、ここは会社です」

「でも今は就業時間外だろ?」

「ですが会社内ということに変わりありません!」

 すぐに反論すると、副社長が肩を落とした。

「もう、瑠璃ちゃんはどこまでお預けさせるつもり?……いや、でもそっか。今はまだキスとかしないほうがいいかもな」

 急にブツブツと言い出すと、副社長は私から離れた。

「すべてきれいさっぱり片づくまで、我慢する」

 とりあえず会社でキスされずに済んだけれど、きれいさっぱりってなにを片づけるつもりだろうか。進めている改革案を提出すること?
 首を捻る私に、彼は笑顔で続けた。

「だから瑠璃ちゃんも、俺とキスやその先もいろいろとしたいと思うけど、もう少し我慢してね?」

 キスやその先って……。

 副社長が言っている意味が理解できて、身体中が熱くなる。

「なにを言ってるんですか!」

 ついムキになって言い返すと、彼は少年のように無邪気に笑った。

 笑われて悔しく思うと同時に、副社長と本当に両想いになれたんだと実感できて、うれしくて私もつられるように笑ってしまった。

 もう気持ちを隠さなくてもいいんだ。素直になってもいいんだ。
 そう思えば思うほど、副社長に対する好きって気持ちは大きく膨らむばかり。

 圭太君の言う通り、正直にならないと幸せになんてなれないね。
 副社長の笑顔を見つめながら、私の心の中は幸せな気持ちで埋め尽くされた。
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