策士な課長と秘めてる彼女

love and sweet day

「考えたら、私、わざわざ旅行に来てまで海を見に来るなんて、どんだけ海好きだよ?って感じですね」

クスクスと笑う日葵は誰よりも可愛い。

隣を歩く日葵の横に、今日、柊はいない。

家族のように、いや、我が子のように柊を可愛がる日葵を尊重したいが、たまにはこうして二人で出かけることも出来立てカップルには必要な時間だろう。

陽生と日葵は、海岸を離れ、近くのショッピングモールや観光地を巡って、恋人同士の時間を楽しんだ。

夜は、日葵が予約していたリゾートホテルの一室に二人で泊まることにした。

日葵の予約した部屋は、ジュニアスイートルーム。

平日の県民割引が効く日にちであったということもあり、破格の値段に喜んだ日葵が迷わずに選んだ特別な部屋だ。

元々、ダブルベッドの部屋だったので、陽生が泊まることになっても、ホテル側から苦言を呈されることはなかった。

むしろ、

「お連れ様のご都合がついて良かったですね」

と励まされてしまって苦笑した。

「ありがとうございます」

陽生は、慣れた手つきで受付を済ませると、ホテルの高級レストランに予約を入れた。

その手際の良さは、仕事場で見かける出来る真島課長そのものに見えた。

一方で、恋愛マスターのように見えるのにどこか強引で不器用。

そんないくつもの顔を持つ陽生が、日葵はとても愛しく感じるようになっていた。
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