策士な課長と秘めてる彼女
「・・・だいたいさあ゛陽くん゛って何なの?親戚だからって、職場でくんづけで呼ぶなっつうの!」

何なんだ、この可愛いイングリッシュロップは・・・。

シャンパン3杯で完全に酔いがまわった日葵は、現在、陽生の腕に絡みついてその腕にスリスリと頬を擦り付けている。

「こうやって゛陽くん゛の腕に胸をあててさあ、ちょっと巨乳、いや、随分巨乳?だからって調子にのっちゃって・・・」

甘える日葵はゲームでいう激レアキャラ。

課金しなければ出現率0.03%のいつ出てくるかわからないお宝だ。

まあ、課金すれば出てくるのなら、陽生はいつでも課金するのだが・・・。

「いや、そういう日葵だって結構な巨乳だぞ?まあ、俺は日葵以外の胸には興味はないけどな・・・。槙の胸なんて肉まんと大差ない」

そんな意地悪な陽生の言動に、トロンとした目付きで上唇を舐めながら上目遣いで見つめてくる日葵はいつになく妖艶で理性が飛びそうになる。

「ふふ、陽生さんのエッチ。・・・モフモフしちゃうぞ」

そうやって胸をギユッと押し付けるのはやめて欲しい。

なんせ、ここはまだ、エレベーターホールなのだ。

出張で来ているらしい若いサラリーマン二人が羨ましそうに陽生と日葵を見ている。

「見ろよ、めっちゃ可愛い」

「あんな酔い方なら俺も大歓迎」

ジロリと陽生が睨んでも、サラリーマン二人も酔っているのか不躾な視線を止めようとしない。

「ほら日葵、寄りかかれ」

「うーん・・・?」

陽生に体を預ける日葵は今にも寝落ちしそうになっている。

「ウサギみてぇ」

「マジきゅん」

男性の視線から逃れるように、陽生は日葵を支えてエレベーターホールから移動した。

いつも柊を気にしている日葵は、意識を失うほど酒を飲んだことはないと言っていた。

本格的な酔っぱらい体験が陽生の前で良かったと、陽生は本気で思っていた。

サラリーマン二人がエレベーターに乗ったのを確かめると、陽生は日葵と共に別のエレベーターの到着を待つ。

寝息を立て始めた日葵を横抱きにすると、陽生は最上階のジュニアスイートルームを目指した。
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