クールなオオカミの過剰な溺愛
今まで不機嫌になったことはあるけれど、暴力を振られたことはもちろんないし怒鳴られたことすらない。
だから今も頬をつねったところで、煌哉は一切怒らないのである。
数秒間見つめ合った後、煌哉は諦めたように息を吐いて。
「こんなところで立ち止まってたら電車遅れる」
「…っ、うん!」
ようやく機嫌を取り戻してくれた煌哉を見て安心した私は、返事をしてまだ駅へと歩き出す。
「ねぇねぇ煌哉」
「……なに」
「今日って席替えあるらしいよ。
煌哉と近くになれるかなぁ」
高1の時は煌哉と同じクラスになれなかったけれど、なんと高2では彼と同じクラスになることができたのだ。
8クラスもあるため、同じクラスになれたのは本当に奇跡である。