クールなオオカミの過剰な溺愛



とはいえ“バカみたいに明るい人間”と言われて褒められた気はしないけれど。


「水瀬くんはバカバカ言い過ぎだよ…」
「でもバカなりに自分の意思は持ってるみたいだね」

「ほら、またバカって言…」


もう我慢の限界だ。
こっちも口悪くしてやる、と思ったけれど。

顔を上げた水瀬くんの瞳があまりにも切なそうだったから、何も言えなくなってしまう。


「煌哉に、ちゃんと話したんだね」
「……え」

「俺にキスされたとか何とか。軽く脅されたんだよ、“また千紗を流せたら黙ってない”って」



話の流れからして、水瀬くんを脅したのは煌哉…?


「い、いつ…?」

「夏原さんにキスした次の日かな。
結構怖いよね、怒った煌哉って」


元不良だからだろうか、それとも本気で怒ってくれたからだろうか。

それはわからなかったけれど、煌哉は私を影で守ってくれようとしていたのは十分に伝わった。

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