クールなオオカミの過剰な溺愛
「あーあ、怒られちゃったな」
一度注意されたためか、先ほどよりも声のボリュームを落としてまた話しかけてくる水瀬くん。
にこにこ面白そうに笑っているものだから意地悪だ。
「もう知りません…!」
恥ずかしさに限界がきた私は水瀬くんから顔を背け、まっすぐ前を向く。
その後もまだ水瀬くんに小さく笑われていたけれど、気にせず席替えのくじが引かれるのを待っていた。
そして恥ずかしい気持ちが引いた頃、席替えのくじが始まった。
基本的に先生は面倒くさがりのため、席替えも生徒に一任らしい。
クラス委員が仕切って席替えのくじを引いていく。
ひとりひとりが前に行ってくじを引くと混雑するため、クラス委員がくじを持って席をまわる方式だ。