愛することに正解はない【完】
「おはよう、凛音。」
ゆっくり瞼を開けると、そこには視界一面に天の顔が広がる。
「もう、近いぃ」
そう言って天の顔を軽く手で押しのける。
朝からそんなに甘々な雰囲気出さないで欲しい。
朝は仕事だったりで、ゆっくり一緒の時間を過ごすことは出来ないんだから。
家を出るのを止めたくなるじゃない。
そんなことを言ったら天は本当に仕事を休みかねないから絶対に言わないけど。
「相変わらず朝は冷たいねー。寂しいよ〜」
へらっと笑いながら言う姿から寂しさは感じられない。
だから、冗談なのだろう。
それから、天はあっさり仕事に行ってしまう。
玄関に向かう天に一言かける。
「今日は早く帰ってきてね」
今日は天の誕生日だから。