太陽と月
偽りの心


陽介の部屋に戻るのも気がひけて、自分の部屋に戻る。

その日は、結局眠れなかった。







「おはよう」とリビングに行くと、朝食を食べている陽介と颯介がいた。

昨日の傷が痛々しく残っている。


「おはよう!早くご飯食べな」とにっこり笑ってくれる。


「う…うん。怪我はどう?」椅子に座りながら聞くと

「大丈夫だよ!見た目以上に痛くないから」とご飯を食べる。


「…そっか。よかった。」怪我していても、ご飯をモグモグ食べる陽介に安心した。


「あっ!椿!俺のこの怪我、転んだって事にするから、口裏合わせてね」と笑って言う。


「…でも…」戸惑う私をチラっと見る颯介の目線を外す。


「生徒会長の俺がやられっぱなしとか、ダサいじゃん!」と口を尖らせて言う。


「いやでも、転んだって方がかっこ悪いか…一層、歩いていたら後ろからトラックにはねられたって事に…それじゃあ、こんな怪我じゃすまないよな?ギャングに襲われた事にするべきか…」と一人でブツブツ言う陽介に思わず笑ってしまう。


「…歩道橋の階段から足を踏み外したって言えば?」とボソっと颯介が呟いた。


「えー!それ何かださくない?!」と顎に手を置き考え込む陽介。


その時、「椿もそう思わない?」と颯介が私に問いかけ、私を試す様な目つきでこちらを見る。


私は…





「…うん。いいと思う…。」そう小さく言っていた。


「うーん。じゃあそう言う事にするか!」とニカッと笑う。


私は心の中で謝る。
ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい。

何度も何度も謝った。




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