太陽と月
近付く距離

「椿!明日9時に駅やで!遅刻したらあかんで!」体育祭の片付けが終わって、美月が私に言う。


明日は美月と卓也さんとその友達とデートだ。


正直、乗り気じゃ無いけど友達の美月の頼み事だから仕方ない。


「了解」私は笑顔でそれだけ言って教室を後にした。


学校の中はまだ体育祭の余韻が冷め切っていないのか、チラホラ生徒が残っていた。


「椿ちゃん」下駄箱で靴を履き替えてる時に誰かに名前を呼ばれる。


呼ばれた先に、進藤先輩がいた。


私はゴクリと唾を飲み込む。


「ハハ。そんなにびびんないでよ」そう笑って近づく進藤先輩。


「…」何も言えない私に


「あっこの前の事を気にしてんだ」そう言って自分の左頬を触る。


「ごめんなさい…」ペコっと頭を下げた。


謝る私を目を細めて見てくる。


「謝っちゃうんだ。悪いと思ってない癖に」そうクスっと笑う。


「…」


「今度は黙っちゃった」そう言ってまたクスっと笑った。


「じゃあ失礼します。」


そう言って進藤先輩の横を通り過ぎようとしたらガッと手首を掴まれる。


「待って。ごめんごめん!怒った?」


少し困った顔で進藤先輩が私に謝る。

「別に怒っていません」そう小さな声で言う私に


「そう?だったら良いだけどさ。ねぇこれから時間ない?」


進藤先輩がニコニコ笑いながら聞いてきた。


「ないです」きっぱりと断ると


「ストレートに断るねー!それは残念。颯介の秘密教えてあげようと思ったんだけどな」そうニコっと笑う。


颯介の秘密…?







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