太陽と月

それからの日々は大きな変化もなく平穏な日々だった。


相変わらず、私と美月はクラスから浮いた存在だったけど、2人でいれば気にならなかった。


美月は一目惚れしたカフェの店員さんに会いに行く為にカフェに通い詰めている。


「椿ー!聞いて聞いて!」
制服が長袖から半袖に変わる季節に美月の明るい声が教室に響いた。


「どうしたの?」満面の笑顔の美月に問いかける。


「カフェに通い詰めて2カ月!やっとアドレス交換出来てん!」そう携帯を天井にかがげる。


あれからもう2カ月か…。
学校では来週控えてる体育祭の準備で大忙しだ。


「良かったね」そう微笑むと


「店員さんの名前は、森田 卓也さん!今、高1で彼女はおらんねんて!毎日メールしてるねん」そうキラキラした笑顔で教えてくれる。


恋する女の子は凄く可愛い。そう思った。


「良かったね!」


「ほんでな!椿!お願いがあるねん」そう顔の前で両手を合わせる。


何だろう?


「卓也がお互いの友達連れて来て遊園地行こうって誘ってくれてん」


まさか…


「お願い!一緒に来て!」そうお願いされた。


正直、気分は乗らなかった。出来たらあまり人と関わりたくない。


でも、右手に付けているブレスレットに目がいく。


友達だもんね…。


「分かったよ」そう微笑むと


抱きつかれ、


「ありがとうー!ほんま椿いい子!」


いい子か…。
美月は“嘘っぱちのいい子”の私をこうして慕ってくれる。
< 86 / 230 >

この作品をシェア

pagetop